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ムーンライトセレナーデ

「熱狂的な大ファン、なのだ。」

私の目指す女性は、中学生の頃から変わらず、その方の描く女性。

誰に影響を受けたの、だとか、なんでそんなことをしたの、だとか。

もし誰かがそうやって、とやかく訊いて来たら、そう言いたい。

あの方の作る、総てが好きだ。

そして、きっとそんな風に彼女は多くの人に思われていることを私は知っているので、少し悲しくも思う。

あの美しさを、独占したい。

だから、彼女の名前は、秘密だ。

マリリンモンローを一目見た時に、えもいわれぬものを抱いた。

またある時は、リラダウンズの言葉だ。

「貴女はハロチャの女?貴女はチェコの女?ーーいいえ、私は蝶です。」

既存の型に合わない。

自由でいたい。

「予もいづれの年よりか、片雲の風に誘はれて、漂白の思ひやまず 云々 (松尾芭蕉)」

三木清も、漂白を語る。

とても、好きなのだ。

とても。

人生は旅であるといったその人たちのおかげで、私はいま、生き長らえている。

最近、耳が突発的に、聴こえにくくなることが増えた。

ひとりで考えていると、昔のように、胃痛が増す。

と、なれば、肌が警鐘を鳴らすのだ。

最近は、つまらない人が増えた。と思う。

もちろん私は、いつもこうしてひとりで物思いに耽るたちなので、本当のところは知らない。

けれど、マリリンモンローのように、只管奔放なひとは、少なくなった気がする。

カントのように、只管厳格でもいい。

或いは、奔放でも。

なんでもいいのだ。

けれど、その人生全てをかけて、只管ナントカである、という、レールを作り出すような人生は、必要悪なのだと思う。

まぁ、きっと、同じ時代に隣にいた人たちからしたら、そんなひとは、迷惑な人以上の何者でもないだろうけれど。

耳が聴こえなくなって、更に悪化の一途を辿り、声が出なくなっても。

私は、好きな人の、本を読めればそれでいいと思う。

文字に色がついて見えるから、本があれば、私の人生は彩り豊かになるのだ。

ムーンライトセレナーデが流れるタクシーに乗りたかった、年代の女より。