ラベンダーのお茶をどうぞ1

ちょっと肌寒くなってきたのだろうか。

窓から見える景色を見ただけで

そんなことを考えた。

机の上のパソコンは開いているけれど、

仕事はあまりはかどっていない。

僕はパソコンの隣に置いた

写真立てに収められた写真を見ている。

家族四人の写真。

あいつが僕の家族になって

何年か過ぎた頃に撮った写真。

あいつはまだ学校に行っていない。

かわいかったよなあいつは。

今でも変わらないけど。

父さんはあいつがなついてくれるか

心配だったようだ。

取り越し苦労だったけれど。

この頃はもう生まれたときから

一緒にいるような気がしていた。

ずっと持ってたんだこの写真。

今日あいつの部屋の掃除をしたとき見つけた。

忘れないうちに返しておかなくちゃ。

この頃のことを書けば

いいものが書けるのだろうか。

でも僕はそんなタイプじゃない。

自分らしくないことをしても多分駄目だろう。

僕はぼんやりとした秋の空を見た。

そろそろスーパーに行かないとね。

ここのところあいつは朝が早く夜も遅いので、

ほとんど家では食事をしていない。

スーパーで買うものも少なくなってきている。

ご飯を炊かないかわりに冷凍食品ばかり増えている。

体にも家計にもあまりよろしくはない。

そうなんだ。

最近はそんなことばかり考えている。

外食はほとんどしなくなった。

たまにパブロには行くけれど。

寒くなりましたね

彼女はあの時以来メガネをかけていない。

もともと伊達メガネらしいし、

チューリップハットもやめてしまった。

今日は手編みの帽子をかぶっている。

しばらくこなかったですね

いそがしいんです。家のこととかいろいろ

書く方はすすんでいるんですか

いまひとつかな

厚手のカップに落葉色のお茶が入っている。

ぼんやりとあったかい気分にさせてくれるお茶。

番茶に似ているかな。

ラベンダーのお茶のホッとする感じとはちょっと違う。

リベリーとローストマテのブレンドです

秋って感じですよね

ところで、前にお店に飾ってあったマフラーまだあります

前にあげたセーターと同じ色の

そうです

ありますよ

売ってもらえますか

いいですよ。プレゼントかしら

そんなわけでもないんですけど

素敵ね

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